「タスケッター」ではXを代表とするSNSや掲示板、Webニュース等の膨大なデータから特定の調査キーワードを切り口に分析し、一般ユーザーの声を可視化する「SNS話題量調査」をサービスとして提供しています。
今回、そのサービスのサンプル調査として「公開から1年で見る、ChatGPTのビジネスシーン以外での使われ方」を調査・分析しました。
調査背景
ChatGPTとは、2022年11月30日にアメリカのOpenAIが公開した生成AIで、公開後すぐに大きな注目を集め、2ヶ月後にはユーザー数が1億人を突破し、さまざまなシーンでの活用が注目されています。
AIをビジネスシーンでどう活用していくかといった議論や情報は、すでに多く発信されているので、今回はビジネスシーン以外ではどのように使われているかを、「第4次AIブーム」のきっかけである対話型AIのChatGPTにしぼり、Xの投稿を通じて調査・分析をおこないました。
期間中投稿量推移は下図のようになりました。
期間中の総投稿数は305万件あり、1日平均は8,340件でした。
大きなピークは2度あり、1つはChatGPT公開直後で、もう1つは2023年3月15日にGPT-4がChatGPT Plus向けに公開されてから4月末頃までの、複数のアカウントによるChatGPTに関する情報発信の投稿が多くなった期間です。
Xのリポスト数の上位投稿をピックアップしました。
その際、同一投稿者は最上位の投稿のみ採用し、メディアアカウントによるニュース投稿は除きました(それぞれ、Xの投稿文面より一部抜粋)。
リポストTOP10投稿の内容は、1,3,8位の投稿文面にあるように、遊び感覚で使ってみたと思われる投稿が多く見られ、他には1,5位の質問してみた内容や、「しりとり」「替え歌」「画像生成」「大喜利」「キャッチコピー作成」「作詞」といった使い方が見られました(画像内赤下線箇所)。
一般ユーザーの投稿からランダムに100件をピックアップし、その内容の主目的を基準に目視判定して集計しました。
判定基準は下記です。
質問
知識的、技術的な質問を目的に使用している投稿。
芸術活動
芸術活動として新しい作品を作り出すことを目的に使用している投稿。
効率
時短を目的に使用している投稿。
会話
人とするような会話をChatGPTにしてもらうことを目的に使用している投稿。
半数を占める質問には、料理のレシピ、歴史、レストラン等のおすすめの店、絵の具の調色、など。
四半数を占める芸術活動には、小説執筆や作詞やキャッチコピー等の文章作成、イラスト等の画像生成、など。
効率には、学校の宿題・課題での部分的使用、長文の要約、英語の翻訳、など。
会話には、会話そのものや、応援してもらったり、褒めてもらったり。
その他には、占いやゲームやしりとりでの遊び。
上記の様に、大きく4つの使用目的に分類できました。
トピック分析で判定した各項目の投稿内容例をご紹介します。
トピック分析でランダムにピックアップした100件の、トピック別投稿量推移は下図のようになりました。
調査期間前半の半年間では「質問」での使用が多かったですが、後半では大きく減っており、野村総合研究所が2023年6月22日に公開した「日本のChatGPT利用動向(2023年6月時点)~若年層を中心に利用率が高まる~」に、「2023年5月12日に過去最高の767万アクセス/日を達成しているが、基本的にアクセス数は横ばいもしくはやや減少傾向にあることがわかる。ChatGPT熱はやや落ち着いてきたと言える。」という調査結果があり(詳細はhttps://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2023/cc/0622_1)、期間中投稿量も似た動きをしていたことから、最初は気軽に質問してみたユーザーが多かったが、その後使わなくなり後半の減少につながったと思われます。
対して、「芸術活動」が最後の2ヶ月(10~11月)で最高量になっていたので、使用目的を深掘りするために、一般ユーザーが「芸術活動」を目的に使用していると思われる投稿からランダムに100件をピックアップし、その内容の主目的を基準に目視判定して集計しました。
最も多い画像生成には、イラスト、ロゴ、人物画、ドット画の作成。
物語作成には、小説、ストーリー、シナリオの作成。
作詞には、歌詞、ポエムの作成。
その他には、お笑いのネタ、キャッチコピーの作成。
上記の様に大きく3つの目的に分類できました。
最も多い「画像生成」の投稿内容を見ると、画像生成AIを併用していると思われる投稿がありました。
投稿内容例をご紹介します。
気軽に質問してみた使い方のように、ChatGPTと様々な画像生成AIを併用してみた思われる投稿がいくつか見つかりました(画像生成AIは赤字にしています)。
プロンプトはChatGPT、画像は画像生成AIで作成といったように、工程ごとに適した生成AIを使い分けることで、より良い結果を出そうと試みたのではないでしょうか。
本調査結果を踏まえて、「公開から1年で見るChatGPTの、ビジネスシーン以外での使われ方」に関するX上のユーザーの投稿は下記の通りまとめられそうです。
実際に使ってみた結果を伝える投稿が多い
調査期間中は、公開直後と2023年3~4月に大きなピークがあり、遊びで使ってみて面白い結果になったことを伝えた投稿が注目を集めたからではないかと思われます。
使用の減少が見られるが芸術活動においては健闘
しかし、使われ方として最も多い「質問」という形での投稿量の減少と連動して、使用自体も3~4月のピークを境に大きく減少していると思われます。
一方で「芸術活動」では堅調な推移かつ、最後の2ヶ月(10~11月)で最高量となっており、これは2023年10月5日にOpenAIが発表したDALL E3など画像生成AIとの併用の試行による一時的な増加の影響もあるものの、継続的な活用も伺えます。
ChatGPTが公開されてから、生成AI関連は急激に盛り上がりましたが、ビジネス外での使用は落ち着きつつあると考えます。
芸術活動では一定の継続的な活用があるとも思われますが、今後もその活用が継続されるかは、まだ不透明であるとも言えます。
しかし、公開から1年ほどということもありまだ活用の余地があると思うので、今後はどのような使い方が見られるのか期待していきたいです。
実施期間
2022年11月30日~2023年11月30日
調査方法
SNS分析ツール等を使用し、調査期間内の対象媒体の投稿データを収集・分析
対象媒体
X
検索キーワード
(chatgpt or “chat gpt”)
※当調査目的に沿わない内容の投稿を除外するための除外キーワードも設定
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