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大阪府の高校授業料完全無償化に関する意識調査

「タスケッター」ではX(旧Twitter)を中心に膨大な投稿データから特定の調査キーワードを切り口に分析し、一般ユーザーの声を可視化する「SNS話題量調査」をサービスとして提供しています。

今回、そのサービスのサンプル調査として「大阪府の高校授業料完全無償化に関する意識調査」を実施しました。

調査背景
8月25日に大阪府は私立も含め、高校授業料の完全無償化の制度案を決定しました。

その過程の報道等ではネガティブな論調を多く目にしましたが、実際に世の中の人はどう捉えているのか、X(旧Twitter)の投稿内容を調査し分析してみました。

調査・分析

投稿量の推移:素案提起と決定報道に非常に高い関心

期間中の投稿量の推移は下図のようになりました。

期間中の総投稿数は9.1万件あり、1日平均は840件でした。5月9日の素案提起と吉村知事の投稿を受け、翌10日に1.1万件超の最大のピークを形成し、8月25日の決定の報道を受けて、再度1万件を超えました。

その間に、3,000~4,000件程度のピークも4回ありました。それらは、いずれも私立高校やその関係者が反対しているというネガティブな報道に起因するものでしたが、決定報道と比較するとピークは低位でした。

リポスト数上位投稿者TOP10:ネガティブ意見の投稿者数が優勢

Xのリポスト数(旧リツイート数)の上位投稿をピックアップしました。その際、同一投稿者は最上位の投稿のみ採用し、メディアアカウントによるニュース投稿は除きました(それぞれ、Xの投稿文面より一部抜粋)。

リポストTOP10投稿者のうち、7名程度が政策にネガティブな投稿でした。政策に対してポジティブな意見は2位、5位、10位の投稿が該当します。
反対意見の多くは私立高校関係者あるいは代弁者によるものが多かった他、制度設計や維新への批判が見られました。フォロワー数が5千超のインフルエンサーが多く並ぶ中、5位にはフォロワー数1189の一般ユーザーの称賛の声がランクインしていました。

ポジネガ・トピック分析:政策を支持するポジティブな意見が優勢

一般ユーザーのオリジナル投稿からランダムに100件をピックアップし、高校無償化に対するポジネガとその内容を目視判定して集計しました。

ポジティブな意見には、政策に対する称賛の声が多く見られ、大阪府へ引っ越したいという声や、全国展開を希望したりする声も見られました。ネガティブな意見には、教育の質が下がるのを懸念する意見が多く見られ、私立学校まで適用対象にするのはやり過ぎという意見も見られました。

投稿ピックアップ:政策に対するポジネガの例

前項で判定したポジティブとネガティブのトピックの投稿内容例をご紹介します。

 

まとめ

「大阪府の高校授業料完全無償化」に対するSNS上の世論について

本調査結果を踏まえて、「高校無償化」政策に対するX上のユーザーの意識は下記の通りまとめられそうです。

1.ネットニュースやインフルエンサーはネガティブな意見の投稿が多い
大阪府による5月9日の素案公開から8月25日の決定に至るまで、ネットニュースではネガティブな論調が多く、複数回のピークが見られました。また、リポスト数TOP10投稿者には、ネガティブな意見の投稿者が多くいました。

2.一般ユーザーの声としては、ポジティブな意見の投稿量が多い
一方で、ランダムにピックアップした一般ユーザーの声を分類すると、ポジティブな声が優勢でした。

5月9日の吉村知事の投稿や、決定報道に寄せられたリポスト数やいいね等のエンゲージメントの高さは、支持を示す行為であるとも考えられますので、ネガティブな報道によるピークは低位であり、広がりは限定的だったともいえそうです。

一見ネガティブな意見が多い様に見えるが、一般ユーザーの声を丁寧に分析することで、実はポジティブな意見が優勢であることが分かった。

今後の課題

実はポジティブな意見が多いことが分かりましたが、決定に至ってもまだ解消していないネガティブな懸念は残っています。8月25日の決定により、それまでの府内の私立高校との交渉過程での反対意見などは解決したといえますが、「教育の質低下の懸念」や「近隣府県は迷惑している」といった懸念は残っています。

機会があれば、そうした懸念に対するユーザーの声がどうなっていくのか、改めて調査してみたいと思います。

調査概要

実施期間
2023年5月9日~2023年8月25日

調査方法
SNS分析ツール等を使用し、調査期間内の対象媒体の投稿データを収集・分析

対象媒体
X(旧Twitter)

検索キーワード
(高校 and 無償化 and 大阪)

※当調査目的に沿わない内容の投稿を除外するための除外キーワードも設定

タスケッターについて

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